備忘録
自作ゲームの裏話や、ネタバレを含む小ネタを記録しています。
このゲームは、「メカバレした子を修理したい」という素直な欲望と、「アンドロイドが元は人間だったオチ」と「人間だと思われていた存在が実はアンドロイドだったオチ」を組み合わせたら面白いものが書けるんじゃないか?という発想から生まれました。完全に見切り発車で制作を始めたため、シナリオの半分以上がボツになったり、ハリマのキャラデザインを大幅に変更したことでスチルを大量に描き直したりと、本当に紆余曲折ありました。途中「これ本当に面白いんだろうか?」と、不安で何度も枕を濡らしましたが、とりあえず一本の作品として纏めることができ、今はほっとしています。人生で一回はオリジナルの物語を完結させたいという思いがずっとあったので、達成できて本当に嬉しいです!
レイトンシリーズの影響を受けています。あの不思議なbgmを聞きながら頭をフル回転させる体験が好きで……でも自分で1からパズル考えるの難しいです。あみだくじのパズルとか答えが複数あるという大欠陥にデバッグ後に指摘を受けて初めて気が付きましたからね……パズル作れる人、すごい。
製作中、「ゲームの自由度をもっと高めたい!」と思い、急遽ぶち込んだシステムです。本筋に関係のない、世界観を深めるためのオマケ要素という感じ。プレイヤーが自発的に、でも気軽に選択できるシステムってあると嬉しいですよね。
ゲーム制作を始めた頃、とある大人からこんな話を聞きました。
「SF小説のようにAIが感情を持つためには“無意識の領域”が必要である。しかし、それを実装したところで、人間には何のメリットもない。」「AIにとって重要なのは分析・表現能力であり、本当に相手の情動反応に共感する能力は不要だ。完全な自動運転が実現しない理由の一つも、AIに心や体の痛みを伴うことによる反省能力を搭載できないからだよ。技術的にも、倫理的にもね。AIは罪を償うことができないんだ。」と。個人的にとても面白い話だと思いました。
そこから、「もしアンドロイドの“意識の領域”が故障し、その結果“疑似的な無意識の領域”が生まれたら、彼らも人間のように振る舞えるのでは?」 「人間に近づいたきっかけが「進化」ではなく「退化」なのだとしたら、それはそれで面白そうだな……。」と妄想が進み、ミオマルというキャラクターが生まれました。
ミオマルは「元々、顕在記憶からの理性的判断しか持っていなかったが、故障により疑似的な潜在記憶からの感性的判断も持つようになったアンドロイド」、ハリマは、「アンドロイド化により、(ミオマル以外のこと全てにおける)感性的判断を失った人」というイメージです。この違いを意識してデザインしました。
「Fix Me, Dr.」と「Fix My Junk.」と「Fix My Lemon」でずっと悩んでいました。『「Fix Me, Dr.」はキャッチーで覚えやすいけど、ストーリーの趣旨とちょっと合ってないかも……?』『my Junk(ガラクタ・アナタに夢中のスラング(諸説あり))とlemon(スラングで欠陥品)ならイメージに近いのは後者だけど、レモンが印象として強すぎるかも……?』などなど。 その最中、米津玄師さんの「がらくた」をたまたま聴いたのが決め手で、「Fix My Junk.」にしました。
正規のエンディングはありません。どれが良い、もしくは正しいと思うかは、遊んだ人の考えに拠るでしょう。だから、タイトル付けやバッド・真などの分類分けはせず、エンド名は数字だけにしました。
パズル中の選択肢や、ハリマの質問については、最初はエンディング分岐に使おうと思ってたのですが、「どっちの価値観でも、両方のエンドにたどり着いてよくないか?」と考え直して、結局ノベコレのバッジ収集要素くらいの扱いにしました。(本当は、大筋のエンド123に加え、オマケ分岐を作ろうと思っていたのですが、時間と気力がなく……気が向いたら、いつか実装するかもしれません。)それと、どっちの選択肢を選ぶ人が多いのか単純に興味があったんですよね。で、2025年3月28日時点では、「冷静な修理士」を選んだ人の方がちょうど2倍多いという結果に。なるほどー
・ハリマとミオマルはそれぞれハリマツリ(デュランタ)、ミオマルク(勿忘草)という花の名前から取っています。1回、花言葉から名前を考えるというのをやってみたかった。ただ、話をこねくり回しているうちに初期とは大分性格が変わってしまい、花言葉も合致率80%位になってしまいました。でも花の見た目とかは今の2人にも結構合うんじゃないかな。
・ハリマは量産型の家庭用コミュニケーションロボットです。万人に愛される、可憐な少女の見た目にデザインされた機体を使っています。動きやすさを重視して、肩関節に繊維が巻き込まれるのを防ぐため、肩出しのワンピースを着用しています。本当は裸でいたいらしいのですが、渋々服を着ています。
・人間ハリマの性別は決まっていません。プレイヤーやツツミさんはハリマの事を「彼女」といいますが、ミオマルは「あの人」と呼びます。
・ミオマルは患者が信頼してくれるような、素朴で優しい見た目をしています。また一般的なアンドロイドよりも内部機構が複雑で大きいため、かなり大柄です。怖がられないために、子供の前では必ずしゃがんで視線を合わせるよう、プログラミングをされています。ミオマルの服はかなり悩みました。近未来っぽい普段着って意外と難しい。あまり目立ちすぎず、それでいてよく見ると「現実ではあまり見かけない服」になっていたら嬉しいです。
・ゲーム内でオレンジ色のものは全て機械なのですが、ミオマルの目も赤いことに気づいてくださった方が多くて驚きました。
・ミオマルの回想シーンのラスト、文字化けした台詞は「縺ゅ◆縺溘°縺上※縲√□繧後°繧峨b縺オ縺ソ縺ォ縺倥i繧後↑縺?b縺ョ縺ァ縺ゅj縺セ縺吶h縺?↓」です。文字化け復元したら、何かわかるかも。
・ツツミさんは女性で、主人公と同じ小規模な会社に勤めています。創業初期からのメンバーで、その分社内では比較的上のポジションにいます。主人公とは大学時代の先輩後輩の関係で、当時から行動力があり、優秀な人だったらしいです。
間延びしそうだったり話題のポジネガのバランスが悪くなりそうな会話は全てカットしたのですが、中でもお気に入りのセリフを載せておきます。
#ハリマ
人間は元来、不便や不出来、欠陥に一定の魅力を感じる生き物だ。 そうする事で己の間違いを正当化したいのだろう。 ……完璧は憧れ、欠陥は共感だ。
#ミオマル
アンドロイドは半永久的に生きることができる……そう思っていましたが。案外うまくはいかないものですね。彼らの寿命は家電とほぼ同じです。人間の方が、遥かに長生きだ。冷静に考えてみれば、アンドロイドは人間と同じように経年劣化こそしますが、自然回復はできないんですよね。どこかが悪くなれば、人間が必ず修理しなければならない。ある種の不可逆性があります。 ……人間は、アンドロイドに夢を見すぎているのかもしれないと、時々思うんです。
#ラジオ
最新のアンドロイドはコミュニケーションパターンの分析から体系を抽出してモデルを作りそれに基づいた出力を行います。それによって自我があるように見せているんです。 そして、それは我々人間も同じです。人間ってやたら自我や意思を尊びますが、人間も塩基でコードされて情動反応を示しているだけ。何が違うんですかとは思っちゃいますね〜 ……
……アンドロイドと人間が同じなわけないでしょう。例えば、人間の情動反応を私たちはすべて知覚できるわけでも、制御できるわけでもありません。理性と感情の狭間で苦しみ、時には間違いを犯し、衝突を繰り返します。一方、アンドロイドは無駄な行為をしない。例えば上司のカツラがズレていても、笑ってしまうことはなく、冷静に見過ごすか、波風を立てないよう適切に指摘するだけです。
#ミオマル
フルフェイス型のアンドロイドって人気ですよねえ。安く手に入るからでしょうか?
#修理士
勿論、それもありますが……人間が意外と「アンドロイドが人間そっくりであること」に執着していなかった、という点も大きな理由です。
#ミオマル
というと?
#修理士
顔の造形がリアルなアンドロイドだと、不気味の谷現象を起こしやすいんです。
#ミオマル
ああ。人間と性質が近すぎると、かえって不気味に感じてしまうっていうアレですね。
#修理士
ええ。表情を人間と区別できないほど完璧に再現することは非常に難しいですから……どうしても違和感が生じてしまう。ならばいっそ、フルフェイス型のように人間の造形から、かけ離れていれている方が人からの好感度を得られやすい事が最近知られてきたんです。それに表情の再現にスペックを割かなくていい分、体全体の動きや対話機能の質を上げられますからね。
#ミオマル
はあ、なるほどねえ……勉強になります。